直線上に配置

      編集と製版《原版の作成》について

◎ 基本的なこと
 豆本はサイズが小さいだけで、体裁は普通の本(ここではハードカバーの標準的・本格的体裁の本)と何ら変らないから、製本に関する基本的な知識はいくらか必要である。逆に豆本製作の知識・技術は、そのまま普通の本の製作や修理などに応用できる。
 本文の編集・製版に当ってまず知っておくことは「本は16ページを印刷した紙(折丁または丁という)を単位として出来ている」ということである。すなわち、1枚の紙の両面に、8ページずつ、16ページ分印刷し、それを半分・半分・半分と、3回折って、4枚二つ折16ページにして綴じたものが本体になる。ただ厄介なことに、そのページは順序良く並んでいるわけではない。裏表が連ページであるのは当然なのだが、同面の隣同士はほとんどが連続していないし、連続していても逆順だったりする。しかも下の段は倒立している。
 そのページ配分は以下の図のような具合である。(倒立した6と9に要注意)  
 ただしこれは縦書き・右開きの場合で、横書き・左開きは、上下を入れ替えた形になる。
 これからの記述はすべて縦書き右開きの本を作るためのものである。
 図
A       
黒数字は枠番号 青丸数字はその裏枠番号
赤数字は印刷ページ
 紙を裏側から見た状態
赤線は綴じ部分、黒線は切り落とし部分

 まず、記述に当り、内容の違った3種類のページを表現する必要から、混乱を避けるためはっきりと定義づけ、それぞれ異なる語や文字で表すことにする。
 顱◆嵋槓如   ・・出来上がった本の下に印刷されている普通にいうところのページ。
 
髻◆岼刷ページ」・・印刷と製本の際に必要なページ。図の赤数字のことで横並び4個の
           枠が一つのページとなり、これは「ワード」の一画面(ページ番号)
           の数字に対応している。枠外に印刷されるが最終的に切り落とされ
           無くなる。
 鵝◆嶇犯峭罅  ・・編集と製版時に必要であり、これまで述べてきた上図Aの数字で、
           2丁以降は各番号に「(丁数−1)×16」を加えた数になる。
           印刷はされないが「
本頁」の位置を示すものである。
「枠番号」がそのまま「本頁」にならない理由は、文庫本のような簡易本でも表紙の次からいきなり本文が始まるわけではなく、本体と表紙をつなぐ見返しの紙として使う部分や題名・作者などを記した扉となる頁が必要だからである。また本体の終末部分には奥付と見返しが付く。
 
枠番号は16の整数(丁数)倍が原則だが、状況により用紙の半分を使い、8枠番号で加減する。これは紙の節約というより、あまり空白頁を多くしない体裁上からの理由による。
      
   
 これからの記述は以下のような体裁の「豆本」の場合である。
    A4用紙を用いた A8版(本体74×52ミリ)サイズ
    縦書き ・ 右綴じ ・ 右開き 
    フォント 6ポイント
    1行字数   24字 または 25字
    1頁行数   9行 または 10行
    1頁字数  216字  225字  240字  250字
 これらは経験上割り出した数字で、特別な根拠はほとんどないから、フォントの大きさ、字数など自由に変えられる。
 
    
○ 編集と製版(広い意味ではどちらでも同じ)

機∨槓減酩覆料定と取得

 「豆本」という性質上長い作品は不適当で、主に短編中心になろう。そうかといってあまり短かく丁数が少なくても薄すぎて、本格製本の書籍としては貧弱なので、その時は2,3作を合わせて作るとよい。5丁(約70本頁)から10丁(約150本頁)ほどに収まる位の長さが適当である。
勿論文字の大きさと1頁当たりの字数により丁数も変る。
 私の実作例。
   芥川龍之介 羅生門       28本頁   約6050字
         鼻         29本頁   約6250字
         蜜柑         15本頁   約3250字   以上3作で5丁
   川端康成  伊豆の踊子     98本頁   約21150字   7丁
   樋口一葉  たけくらべ     141本頁   約31700字   10丁
   泉 鏡花  高野聖       175本頁   約43750字   12丁
   宮澤賢治  銀河鉄道の夜    198本頁   約49500字   13丁
 作品の取り込みはスキャナーで付属の文字読み取りソフト(読んでここ)を使っている。
 ネット上の「青空文庫」を利用する手もあるが、著作権やその他の関係で作者・作品が限定されており、また漢字の読みがルビではなく本文中に《》で示されているのが、たまに出てくるならともかく、煩わしく思われて私は利用してない。
 もともと豆本ではルビはほとんど読めないので無意味である。

供∧埆(製版までの下準備作業)  ワード使用
   〆酩覆諒源数を調べる。
  ◆(濃数で割り(端数切り上げ)、必要頁数を算出。
    長めのものは250、短めのものは216。私はほとんど24字9行216字を採用。
   8頁(見返しなどの分)をプラスして、必要丁数が決まる。
    逆に言えば「丁数×16−最低8」が本文中身として使える本頁数。
      10丁[152頁], 9[136], 8[120], 7[104], 6[88], 5[72], 4[56]
    例えば本文頁が68頁の場合、8頁加えて76頁で5丁必要。余った4頁は作品解題、
    著者肖像等で調節するか、遊び紙にする。
  ぁ.錙璽匹離據璽言瀋蠅髻以下のようにする。
     フォント6ポイント   縦書き   2段
    「文字数と行数を指定」をチェック
    文字数 36(1-41)  字送り (6.3pt) ※余白の数値で変るが、6.3前後がよい。
    行数  66(1-89)  行送り (11pt) ※9行本頁の場合で10行の時は70にセット
    余白  上下22、左右20
    印刷の向き 横長  用紙A4
  ァヽ胴圓24(または25)字にするために、各行全部を24(25)字毎で改行する。
    ※ページ設定で24(25)にせず36にしてあるのは、裁断のための空白部分が必要な
    ことと、文字の間隔があきすぎることがその理由である。
    また「下インデント」を使わないのは、ワード「縦書き」では、下インデントは
    段落ごとにしか設定できず、それもいちいち書式タブをクリックして数値で設定
    するという煩雑なものである。また下インデントで24字にしたとしても、このあ
    とで行の下に「本頁」の数値をつける作業ができなくなる。
  Α1頁分・9(10)行ずつを、間をあけて区切り、これで本体の必要頁数が確定する。
    前の△嚢圓辰新彁擦箸隆屬妨躡垢生ずる場合がある。
    各頁が上下の段や次のページにまたがらないようにする。
  А)槓任魑入する。ヘッダー・フッターは利用できないので、これも手作業しかない。
    位置は自由ではあるが、本文中央または外側の行の下に一字分あけて通し番号を打つ。
    このままでは数字が横になったままなので、書式→拡張書式→縦中横で縦数字に直す。
    これは一回の設定で全頁を修正出来る。
    ※ 右開きの本は、奇数頁は左、偶数頁は右側になることに注意。
  ─ヽ簓嬋修虜鄒
    以下のような必要丁数分を書いた表を用意する。図Aを印刷ページ順に右から並べた
    ものである。
    下の例は5丁80枠のもの。
丁数
印刷ページ 4 3 2 1
枠番号 7 10 11 6 5 12 9 8 3 14 15 2 1 16 13 4
本頁
印刷ページ 8 7 6 5
枠番号 23 26 27 22 21 28 25 24 19 30 31 18 17 32 29 20
本頁
印刷ページ 12 11 10 9
枠番号 39 42 43 38 37 44 41 40 35 46 47 34 33 48 45 36
本頁
印刷ページ 16 15 14 13
枠番号 55 58 59 54 53 60 57 56 51 62 63 50 49 64 61 52
本頁
印刷ページ 20 19 18 17
枠番号 71 74 75 70 69 76 73 72 67 78 79 66 65 80 77 68
本頁
 
   この表の枠番号の順に、見返し部分や扉とか奥付なども含め中身の全頁を書き入れる。
   枠番号1と2、及び最後の2枠(79,80)は見返しだから必ず空白になる。1と80部分には
  二つ折りにした別紙の見返紙が貼り付けられる。
   3と4は扉にするのが普通だが頁に余裕があるときは白紙の遊び紙にもできる。
   次に枠番号の順に本文頁を機械的に記入する。
   最後の見返し前の77か78に奥付が入る。
     
   一例として本文68頁のものを示す。
   3・4と77・78はどちらかに纏めて、作品解説などにも使える。

丁数
印刷ページ 4 3 2 1
枠番号 7 10 11 6 5 12 9 8 3 14 15 2 1 16 13 4
本頁 1 4 5 扉裏 6 3 2 遊紙 8 9 見返 見返 10 7 遊紙
印刷ページ 8 7 6 5
枠番号 23 26 27 22 21 28 25 24 19 30 31 18 17 32 29 20
本頁 17 19 21 16 15 22 19 18 13 24 25 12 11 26 23 14
印刷ページ 12 11 10 9
枠番号 39 42 43 38 37 44 41 40 35 46 47 34 33 48 45 36
本頁 33 36 37 32 31 38 35 34 29 40 41 28 27 42 39 30
印刷ページ 16 15 14 13
枠番号 55 58 59 54 53 60 57 56 51 62 63 50 49 64 61 52
本頁 49 52 53 48 47 54 51 50 45 56 57 44 43 58 55 46
印刷ページ 20 19 18 17
枠番号 71 74 75 70 69 76 73 72 67 78 79 66 65 80 77 68
本頁 65 68 空白 64 63 奥付 67 66 61 遊紙 見返 60 59 見返 遊紙 62

     ここまでを、一応下準備とする。
   
掘\夙悩邏 
 本頁の打たれた各頁を、上掲表により並べ替えた印刷物にするのであるが、ワードには文字を回転させる機能は無いそうで、一つの面に180度倒立した頁を並べることは出来ないから、上下2段は別々に作って、印刷の段階で回転させることになる。従って1つの丁に対し上下裏表の4印刷ページの版を作り、4回印刷をすることで一つの丁になる。
 パソコンは、データを一定のルールで並べ替える作業は得意ということが、私にはそのプログラムを組むことが出来ないので、その面倒な並べ替え作業は、「切り取り→貼り付け」の手作業で行った。

 ,發Π貪戞屮據璽言瀋蝓廚痢66(70)行を確認する。以下カッコ内の10行頁は省略。
  その66行のなかに4本頁分を以下のように配置並べるのが基本である。
  
空白2行 * 頁9行 * 空白5 * 頁9 * 空白16 * 頁9 * 空白5 * 頁9 * 空白2
  33行が左右対称に並んでいる。縦書きだから、すべて右から左へ作業が進行する。
◆^貪戮覗簡任鯤造拌悗┐襪海箸和臺僂悩乱するので1印刷ページ(以下ページとのみ表記)
  ずつ片付けて行く方が確実である。
  割付表に沿って、まず7頁を「切り取り」文頭に「貼り付け」る。次に10頁も同様にする。
 見返しと遊び紙は白紙だから、7頁の右側に 2+9+5の空白行を入れる。
  次に7頁左に16行の空白、そして10頁、さらに5+9+2の空白行で上段がすべて決まる。
ぁ_爾涼覆呂垢戮洞白にする。今後の全ページも下の段は使わず、すべて空白になる。
  それなら2段にする意味がないように考えられるかもしれないが、一段だと切り取り・
  貼り付けの作業がやりづらい。とにかくこれで1ページが終わった。
  2ページは9頁・10頁をまったく同じ作業で割付け、以下、表により各ページ同じ作業を
  繰り返すことになる。4ページが一丁として一纏まりになっているので、ある程度慣れて
  くると切り取りの作業もそれほど探し回らなくて済むようになる。
ァ“發髪付を該当枠へ入れる。どちらも縦書き用のテキストボックスを使用する。
  扉は輪郭の枠を二重、三重の太めにし、色を付けると引き立つ。
  奥付はシンプルな輪郭にし、発行日や作者・編集者などを記す。
Α^刷ページの番号を1ページから(丁数×4)ページまで記入する。
  これはワードの「ページ番号」と数値は同じである。
  場所は真ん中の16ある空白行の、右から8行目(全体の33行目)の行頭である。
  ここに置く理由は、トランプのインデックスのように、折ったあとでもかがりの際に確認
  でき、また後で切り落とされて無くなる。
А〆埜紊法∋緜屬戸僂侶蠅砲覆襦崔羚点 ・」 4個を打ち込む。
  全てのページではなく折り畳んだ後で一番内側になる谷折部分に打つわけで、各丁の
  (3、7、11、15、19、・・・)ページ中、右から14行目(右側にある5行空白の中央の行で、
  ここが折り目)になる。
  その行に、行頭から7文字間隔で4点を打ち込んで、製版作業は終了である。
    
  ※ 文章のない写真や絵の画像だけの豆本なら、印刷ページを2段使って下の段の画像を
    180度回転させればよいから印刷回数を半分に減らせる。
 
  このファイルがあれば、豆本のサイズの変更や複数の部数の製作など当然可能になる。

     

 仮に1丁だけの本だとしたら、下の図のように「本頁」が付いた印刷物になる。
 茶色が倒立した本文、白い部分は見返しと、扉・奥付の裏の空白頁である。
 白紙に写して折ってみるとよくわかる
 


直線上に配置

  印刷ページへゆく